高橋 明日美フラーレンの化粧品、口コミを見ても評価がバラバラなのはどうして?
結論、割れているのは成分の優劣ではなく、書いた人の条件がそろっていないからです。



口コミが割れるのは、配合量・併用アイテム・評価した期間がそろっていないからです。
口コミを読むときの3つのポイントを解説します。


髙橋 明日美
株式会社ANY CEO
株式会社ANY、株式会社Malina、株式会社ROSSO、細胞美容PSCLの代表取締役を務める実業家。さらに、REVI正規販売資格を所有。美容業界における豊富な知識と経験を活かし、エステFC事業を展開。また、美容専門学校での講師も務め、次世代の美容業界を担う人材の育成にも力を入れている。


監修 髙橋 明日美
株式会社ANY CEO
株式会社ANY、株式会社Malina、株式会社ROSSO、細胞美容PSCLの代表取締役を務める実業家。さらに、REVI正規販売資格を所有し、美容業界における豊富な知識と経験を活かし、エステFC事業を展開しています。また、美容専門学校での講師も務め、次世代の美容業界を担う人材の育成にも力を入れています。


監修
田中 ゆい
oliss混合肌担当
26歳。元コスメカウンター勤務。高校時代に脂性肌用ケアに全振りして頬が荒れた経験から、「肌は一つのタイプに収まらない」と学びゾーン別ケアにたどり着きました。olissでは混合肌のお客様を3年以上担当し、Tゾーンと頬で化粧水を使い分ける「ゾーン別設計」を一緒に組み立てています。コロナ期のマスクニキビに悩むお客様が急増した時期も、部位別の原因切り分けで多くの方の肌を見てきました。


監修 田中 ゆい
oliss混合肌担当
26歳。元コスメカウンター勤務。高校時代に脂性肌用ケアに全振りして頬が荒れた経験から、「肌は一つのタイプに収まらない」と学びゾーン別ケアにたどり着きました。olissでは混合肌のお客様を3年以上担当し、Tゾーンと頬で化粧水を使い分ける「ゾーン別設計」を一緒に組み立てています。コロナ期のマスクニキビに悩むお客様が急増した時期も、部位別の原因切り分けで多くの方の肌を見てきました。
この記事では、フラーレンを配合した製品の例を1つだけ挙げています。次の3つを満たすものを選びました。
市販品を並べて比較する記事ではないため、3条件を満たす製品のうち、olissが自社で内容を確認できるものを1つだけ例として挙げています。
- フラーレンを配合成分として公式に表示していること
- 区分がパッケージと公式サイトで確認できること
- メーカー公式サイトで、2026年8月時点で継続して購入できること
選定はoliss編集部が行い、内容は上記の監修者が確認しています。
効果の優劣を比較検証したものではなく、上の3条件を満たす製品を並べたものです。
本文で例に挙げるアキュールは、ニキビ専門サロンolissのオリジナル商品です。
記事内のリンクから購入された場合、当メディアを運営する事業者に収益が発生します。
ニキビ専門サロンに来店されたお客さまの需要とカウンセリングの経験をもとに制作した化粧水です。
この記事で名前を出す製品はこの1つだけです。他社メーカーとの取引関係はなく、他社製品を推奨・比較することもありません。


フラーレン化粧品の口コミが割れる理由は、成分ではなく条件にある
フラーレンの口コミが「変化を感じた」と「何も変わらない」に割れるのは、配合量・併用アイテム・評価した期間の3つがそろっていないからです。
同じ「フラーレン配合」と書かれていても、実際に入っている量は製品ごとに違います。塗る順番も、何日使って書いた感想かも、投稿者によってバラバラです。
つまり口コミの★の数を平均しても、自分の肌でどうなるかは分かりません。見るべきなのは評価そのものではなく、その評価がどんな条件で書かれたかのほうです。



条件の話に入る前に、「フラーレンが全成分表示のどこにあるか」を確認できる例として、olissがつくった1本を先に紹介します。
olissオリジナルの化粧水|osmyss アキュール


医師監修のニキビ専門サロンolissのオリジナル商品です。
市販ルートには乗せていない、olissにしか置いていない専売品です。
- フラーレン
全成分表示の5番目に記載された配合成分(医薬部外品の有効成分ではありません) - リンゴ果実培養細胞エキス/グリセリン/BG/ジグリセリン
うるおいを与えて肌を整える保湿成分
口コミの★の数と違って、全成分のどこに書かれているかは誰でも同じように確認できます。
全成分は分量の多い順に並べるのが原則だからです。
アキュールは、水・グリセリン・BG・ジグリセリンに続く5番目にフラーレンが記載されています。
全成分は11個しかないので、位置も中身も公式サイトの表示から確かめられます。
オイルとエタノールを使わない処方なので、ほかのアイテムと重ねやすい設計です。
この見方をすすめるのは、サロンの現場で見てきたことがあるからです。
口コミを見て買った方ほど、何を重ねているか分からないまま「合わなかった」で終わってしまうからです。
毎日カウンセリングをしているサロンだからこそ、自分の条件を記録しながら使える1本にしています。
価格は150mLで4,598円です。
オイル・エタノール・シリコーンを使わず配合成分を11個に絞っていること、そしてolissでしか扱っていない専売品であることが、この価格の理由です。



同じ製品でも、何と重ねているかで感想は変わります。
口コミを読むときは、そこまで書いてあるものを探してみてください。
\内容量150mL・4,598円(税込)/定期便なら5%OFF!/
公式サイトはこちら
※定期便は30日・42日・60日の間隔から選べます。いつでもスキップ・解約できます。
※価格や仕様は変更される場合があります。
フラーレン化粧品の口コミが割れる3つの条件
- 同じ「フラーレン配合」でも入っている量が違う
- 一緒に使っているアイテムが人によって違う
- 評価している期間がそろっていない
フラーレンは1985年に見つかった炭素の分子で、発見した3人の研究者は1996年にノーベル化学賞を受賞しています(※1)。
化粧品原料として売り出されたのは2005年のことです。成分そのものは20年以上使われていて、途中で中身が変わったわけではありません。
フラーレンの化粧品の口コミは、@cosmeやLIPSのような投稿型サイトで、成分名のタグにまとめて集まる形になっています。
ここが読みにくさの出発点です。メーカーも剤形も価格帯も違う製品の感想が、成分名という1つの見出しの下で混ざってしまいます。
評価が上下に分かれるのは、成分ではなく製品と使い方の側に理由があるからです。順番に見ていきます。
製品そのものの見分け方はフラーレン配合化粧品の選び方とおすすめで解説しています。
同じ「フラーレン配合」でも入っている量が違う
化粧品の全成分表示には、厚生労働省の通知で決められたルールがあります。成分名は業界共通のリストにもとづいて表記されます(※5)。
成分名は分量の多い順に並べる。ただし1%以下の成分と着色剤は順不同でよい、というものです(※2)。
ここに口コミが割れる最大の理由があります。前のほうに書かれている成分は多く入っていると読めますが、後ろのほうに並んだ成分は、量の順番すら保証されていません。
つまり「フラーレン配合」という言葉は、10%入っていても0.01%しか入っていなくても同じように書けてしまいます。
成分表の最後のほうにフラーレンがある製品と、上から数番目にある製品を同じ土俵で比べれば、感想が食い違うのは当然と言えるでしょう。
量を外から推し量る手がかりは2つあります。1つは全成分表示での位置、もう1つが原料メーカーのロゴマークです。
フラーレンの化粧品原料を手がけるビタミンC60バイオリサーチ社は、規定値以上を配合した製品にロゴマークの使用を許諾しています(※3)。
水溶性のラジカルスポンジならR.S.マーク、油溶性のリポフラーレンならL.F.マークというように、使った原料ごとにマークが分かれます。
なお同社は2024年4月に三菱商事ライフサイエンス社へ統合されています(※4)。製品によっては旧社名のまま記載されていることもあるので、社名ではなくマークのほうを見てください。
| 確認できること | 見る場所 | 分かる範囲 |
|---|---|---|
| 入っているかどうか | 全成分表示に「フラーレン」があるか | 有無だけ |
| おおよその量 | 全成分表示の何番目にあるか | 1%を超える範囲なら順番が正しい |
| 規定値以上かどうか | パッケージや公式サイトのロゴマーク | 原料メーカーの基準を満たすか |
3つとも、口コミを読まなくても自分で確認できる情報です。評価の平均点を眺めるより、こちらを先に見たほうが早く絞り込めます。



「フラーレン配合と書いてあるのに何も変わらない」というご相談で、成分表を一緒に見ると最後のほうに載っていたということがあります。
一緒に使っているアイテムが人によって違う
フラーレンの化粧品原料には、水に溶けるタイプと油に溶けるタイプがあります。水溶性のラジカルスポンジと、植物性スクワランに配合した油溶性のリポフラーレンが代表です(※3)。
配合の目的そのものは同じとされていますが、溶かせる相手が違うぶん配合できる処方が変わり、製品の質感は大きく変わります。
油溶性のタイプを使った美容液は、しっとりした使い心地になりやすい設計です。皮脂が出ている時期に重ねれば「重い」という感想になります。
反対に水溶性のタイプの化粧水だけで済ませれば、乾燥する季節には「物足りない」と感じる方が出てきます。
どちらも書いているのはフラーレンの感想ではなく、その製品のベース部分に対する感想です。ここが混ざったまま同じタグの下に並ぶので、評価が散らばります。
もう1つ見落とされやすいのが、その日に使っていた他のアイテムです。洗顔を変えた、日やけ止めを変えた、同じ週にピーリングを試した。
肌に起きた変化のうち、どこまでがフラーレンによるものかは、書いた本人にも切り分けられていません。
評価している期間がそろっていない
肌の細胞が入れ替わる周期は、およそ28日から40日と言われます。年齢や部位によっても前後します。
肌の状態について「変わった」と書いている人は、この周期を何回か越えるまで続けた人に偏ります。塗った翌朝に書ける種類の感想ではありません。
ところが口コミの多くは、購入直後に書かれます。使用3日目の感想と、3か月続けた人の感想が同じ画面に並んでいるのが実際のところです。
星1つの投稿でも、中身を読むと「肌に合わなかった」ではなく「まだ何も変わらない」という趣旨だった、という場合もあります。
短期間で書かれた低評価は、製品の評価ではなく期間の記録として読むほうが正確です。



口コミを否定したいのではありません。条件が書かれていない感想は、参考にできる範囲が狭いというだけのことです。
フラーレン化粧品の口コミを読むときに確認したい3点
- 使用期間が書かれているか
- 肌質が書かれているか
- 同じ時期に他のアイテムも変えていないか
ここからは実際の読み方です。全部の口コミを読む必要はありません。条件が書かれていない投稿は、最初に外してしまってかまいません。
残った数件のほうが、100件の平均点よりずっと役に立ちます。順番に3つ確認してみてください。
使用期間が書かれているか
最初に見るのは日数です。「1本使い切って」「2か月目で」と書かれている投稿だけを残します。
化粧水なら1本がおよそ1か月分なので、「使い切った」という言葉が入っていれば、続けられるかどうかの判断材料にはなります。
逆に日数の記述がまったくない投稿は、高評価でも低評価でも判断材料になりません。書いた時点で3日目なのか半年目なのかが分からないためです。
ただし、短期間の口コミがすべて無価値というわけではありません。ヒリつき・かゆみ・赤みといった刺激の話は、初日から起こるので短期の投稿こそ参考になります。
使い心地や香り、ボトルの使いやすさも同じです。期間で読み分ける、と考えると整理しやすくなります。
| 口コミに書かれた期間 | 参考になること | 参考にしにくいこと |
|---|---|---|
| 数日〜2週間 | 刺激の有無・使用感・香り・容器 | 肌の状態の変化 |
| 1か月前後(1本分) | 続けられる質感かどうか | 変化の断定 |
| 2〜3か月以上 | 肌の状態についての感想 | 他アイテムとの切り分け |
肌質が書かれているか
2つ目は肌質です。脂性肌・乾燥肌・インナードライ・混合肌・敏感肌のどれなのかが書かれているかを見ます。
同じ製品でも、皮脂が出ている肌に重ねたときと、粉を吹く肌に重ねたときでは、感想が正反対になります。
「べたつく」という低評価が、乾燥肌の方には「ちょうどいい」に反転することもあるのです。評価の向きよりも、書いた人の肌質と自分が近いかどうかを先に見てください。
ニキビが気になる方は、あわせて「今どの段階のニキビか」も見てください。白ニキビが気になる時期と、赤みが残っている時期では求めるものが変わります。
肌質が書かれていない口コミは、自分に当てはめる手がかりがない状態です。数の多さで判断せず、条件の近い数件を探すほうが確実と言えるでしょう。



olissでは肌質を5つのタイプで分けて考えています。まず自分がどこに当てはまるかを決めてから口コミを開くと、読む量が一気に減ります。
同じ時期に他のアイテムも変えていないか
3つ目がいちばん見落とされます。その口コミを書いた人が、同じ時期に他の何かを変えていないかどうかです。
化粧水を切り替えたタイミングで、美容液やクリームもまとめて新調したと書かれている投稿があります。
この場合、良くなったのも合わなかったのも、どの1本が理由なのかは特定できません。それでも感想はフラーレンのタグの下に集まります。
季節の変わり目も同じです。乾燥する時期に切り替えれば、製品と無関係に肌の状態は動きます。
これは自分で試すときにも当てはまります。変えるのは一度に1つだけ。この原則を守るかどうかで、次に買うものの精度が変わります。
3点がすべてそろっている投稿は、けっして多くありません。それでも数件を読み込むほうが、全体の平均点を眺めるより判断は早くなります。
フラーレン以外の成分もふくめて、化粧水を選ぶ基準を先に決めておくと、口コミに振り回されにくくなります。
サロンの現場で実際に見てきたこと
- 「変わらない」の相談で、比べる相手のほうが変わっている
- 口コミで合わなかった人が、条件を変えると続くことがある
ここからは、olissのカウンセリングで実際にうかがう話をまとめます。
成分の話より、使い方と比べ方の話のほうが多いというのが正直なところです。
口コミの中には「危険では」という声も混ざります。その言葉が出てきた経緯は、この記事の後半(フラーレンが「危険」と言われるようになった経緯)で扱っています。
「変わらない」の相談は、比べる相手が変わっていることがある
「口コミが良かったフラーレンの化粧水に変えたのに、何も変わらない」というご相談をいただくことがあります。
お話をうかがうと、前に使っていたものを覚えていないケースが少なくありません。何と比べて変わらないのかが、本人の中でも定まっていない状態です。
肌の状態は季節でも、生理周期でも、睡眠時間でも動きます。切り替えた時期がたまたま荒れやすい時期と重なれば、製品のせいに見えてしまいます。
そのため、olissでは切り替える前の状態を記録しておくことをおすすめしています。写真を1枚撮っておくだけでも、1か月後の判断はかなり変わります。
これは口コミを書く側にも同じことが言えます。記録がないまま書かれた感想が集まった結果が、いま見ている★の分布です。



「前のものが何だったか思い出せない」というお声は本当に多いです。ボトルを捨てる前に成分表を撮っておくと、次に選ぶときの材料になります。
口コミで合わなかった人が、条件を変えると続くことがある
もうひとつ多いのが、「重かったのでやめた」というお話です。
くわしくうかがうと、油分の多い美容液やクリームと重ねていた、という流れがよく出てきます。やめた理由はフラーレンではなく、重ねた総量だったことになります。
この場合、順番や量を整理すると使い続けられることがあります。全部やめる前に、重ねているアイテムを1つ減らして試す余地は残っています。
反対に、ヒリつきや赤みが出た場合は話が別です。刺激を感じたときは我慢して続けず、いったん使用を中止してください。
痛みをともなうニキビが広がっているときや、数週間たっても治まらないときは、セルフケアの範囲を越えています。皮膚科への相談をおすすめします。



合わなかったという口コミには、製品が合わなかった場合と、使い方が合っていなかった場合の両方が混ざっています。切り分けてから判断してください。
フラーレンが「危険」と言われるようになった経緯
- 2004年、魚の脳で酸化ストレスが報告された
- のちに「溶かすのに使った溶媒の分解物が原因」と報告された
- 工業用の粉体を吸い込む話と、肌に塗る話が混ざっている
「危険」という言葉だけが独り歩きしている成分は珍しくありません。フラーレンの場合、出どころがかなりはっきりしています。
順番に見ていくと、どこまでが化粧品の話でどこからが別の話なのかが分かれます。
2004年、魚の脳で酸化ストレスが報告された
きっかけは2004年、環境保健の専門誌に載った1本の論文です。
水に分散させたフラーレンC60をオオクチバスの水槽に入れたところ、48時間後に脳で脂質の酸化が確認されたと報告されました(※7)。
当時は、酸化ストレスを抑える方向で研究が進んでいた材料でした。逆の結果に見えたことで大きく取り上げられ、「フラーレンは危険」という話が広がります。
のちに「溶かすのに使った溶媒の分解物が原因」と報告された
ここで問題になったのが、実験の準備の仕方です。
フラーレンはそのままでは水に溶けません。当時の実験では、テトラヒドロフラン(THF)という有機溶媒にいったん溶かしてから水に移す方法が使われていました。
2007年、同じ専門誌に載った別の研究チームが、ゼブラフィッシュの稚魚を使ってこの点を検証しています。
その結果、毒性はフラーレンそのものではなく、THFが分解してできたγ-ブチロラクトンによるものだったと報告されました(※8)。
論文は、他の研究でフラーレンに帰属されていた毒性も、これで説明がつく可能性があると述べています。



最初の報告だけが引用され続け、7年後の検証はほとんど引用されない。成分の噂ではよくあるパターンです。
工業用の粉体を吸い込む話と、肌に塗る話が混ざっている
もうひとつ引用されやすいのが、国の研究プロジェクトがまとめたフラーレンのリスク評価書です(※9)。
ただし、この文書には評価の対象がはっきり書かれています。主な対象は、フラーレンを製造・加工する作業者が粉体を吸い込む経路です。
そのうえで、化粧品や医薬品の用途は「意図的な接触・摂取を目的としているため本リスク評価の対象からは除く」と明記されています。
示されている許容暴露濃度も、作業環境と一般環境の空気中の濃度についての数値です。しかも15年の期限つきで、法的な規制値ではないと断ってあります。
つまりこの文書は、化粧水を顔に塗ることの安全性を判断した資料ではありません。ここを取り違えたまま引用されているケースが目立ちます。



工場で粉を吸う話と、化粧水を顔に塗る話は、入り口も量もまったく違います。同じ成分名でも、分けて考える必要があります。
化粧品原料としての安全性はどう担保されているのか
- 日本の化粧品基準は「入れてはいけない成分」を決める仕組み
- EUの専門委員会は2023年に「安全とは結論できない」と判断した
- 「フラーレン」と「ヒドロキシ化フラーレン」は表示上も別の成分
ここがこの記事でいちばん誤解の多いところです。
「国が認めた成分だから安全」という言い方も、「EUで問題視されたから危険」という言い方も、どちらも実際の仕組みとはずれています。
日本の化粧品基準は「入れてはいけない成分」を決める仕組み
日本の化粧品の成分規制は、化粧品基準という告示で定められています(※10)。
この基準は、配合してはいけない成分と、量を制限する成分をリストで示す形式です。逆に言えば、リストに載っていない成分は配合できます。
2001年に全成分表示制度が始まってから、成分の選択は各企業の責任のもとで行う仕組みに変わりました。
フラーレンはこのリストに載っていません。つまり日本では配合できますが、それは「国が個別に安全性を審査して承認した」という意味ではありません。
安全性を確認する責任は、製造販売業者にあります。この違いは、フラーレンに限らずすべての化粧品成分に当てはまります。
EUの専門委員会は2023年に「安全とは結論できない」と判断した
一方で、化粧品用のフラーレンを正面から扱った公的な文書もあります。
EUの消費者安全科学委員会(SCCS)が2023年10月に採択した意見書です(※6)。ナノ材料として届け出られたフラーレン類について、化粧品への使用が安全かどうかを検討したものです。
結論は「安全とは結論できない」でした。禁止でも承認でもなく、判断の保留です。
理由として挙げられているのは、物理化学的な性質・体内動態・毒性のそれぞれにデータの空白があること。加えて、不純物や重金属、残留溶媒が混ざっている可能性、安定性のデータが足りないことも指摘されています。
そしてC60とC70については「遺伝毒性の可能性を排除できない」と明記されています。ここは、安全性を主張する側にとって都合の悪い記述ですが、隠さずに書いておきます。
なお、この意見書を受けてEUがフラーレンを禁止した事実は、2026年8月時点でありません。
2024年に化粧品規則が改正され、いくつかのナノ材料が使用禁止になりましたが、その対象は銅・金・白金・銀のコロイドなどで、フラーレンは含まれていません(※11)。



「結論を出せない」は、危険の証明でも安全の証明でもありません。データが揃っていないという事実の報告です。
「フラーレン」と「ヒドロキシ化フラーレン」は表示上も別の成分
同じ意見書のなかで、評価の結果が分かれている部分があります。ここを読み飛ばすと話がひっくり返るので、少し丁寧に見ておきます。
SCCSが検討したのは、次の3種類です。
| 種類 | SCCSの判断(2023年10月) |
|---|---|
| フラーレン(C60・C70) | 安全とは結論できない。遺伝毒性の可能性を排除できない |
| ヒドロキシ化フラーレン | 水和物と同等とみなし、同じ遺伝毒性の懸念が及ぶ |
| ヒドロキシ化フラーレンの水和物 | 遺伝毒性を示す証拠があり、化粧品への使用は安全でないと判断 |
「安全でない」と明確に書かれているのは、いちばん下のヒドロキシ化フラーレンの水和物です。
ヒドロキシ化フラーレンは、C60に水酸基をつけて水になじむようにしたもので、フラーレノールとも呼ばれます。C60そのものとは化学構造が違います。
そして日本の全成分表示では、この2つは別の名前で書かれます。「フラーレン」と書いてあれば前者、「ヒドロキシ化フラーレン」と書いてあれば後者です。
化粧水やジェルによく使われる水溶性フラーレンは、C60をPVP(ポリビニルピロリドン)などと組み合わせて水に分散させたものが中心です。
冒頭で挙げたアキュールの成分表示にも、フラーレンとPVPの両方が並んでいます。水酸基をつけて水溶性にしたタイプとは、表示名からして別物です。



「フラーレン系」とひとまとめにされがちですが、裏面に書かれている名前は違います。気になる方は、そこだけ確認してみてください。
フラーレン化粧品の口コミに関するよくある質問
フラーレン化粧品の口コミのまとめ
最後に、この記事の要点を整理します。
- 口コミが割れる理由は成分ではなく、配合量・併用アイテム・評価期間の3条件がそろっていないこと
- 全成分は分量の多い順。ただし1%以下は順不同なので「配合」表示だけでは量が分からない
- 量の手がかりは、全成分表示での位置と、原料メーカーのロゴマークの2つ
- 読むときは、使用期間・肌質・同時期に変えた他アイテムの3点が書かれた投稿に絞る
- 短期間の口コミは刺激や使用感については参考になる。肌の状態の話は2〜3か月以降
- 自分で試すときも、変えるのは一度に1つだけにする
フラーレンは20年以上使われてきた化粧品原料で、成分そのものが途中で変わったわけではありません。
評価が割れているのは、口コミを書いた人たちの条件が違うからです。★の平均点ではなく、条件のそろった数件を探すところから始めてみてください。
参考文献
1. The Nobel Prize in Chemistry 1996(Robert F. Curl Jr., Sir Harold W. Kroto, Richard E. Smalley)https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/1996/summary/
2. 厚生労働省医薬局審査管理課長・監視指導麻薬対策課長通知「化粧品の全成分表示の表示方法等について」(平成13年3月6日 医薬審発第163号/医薬監麻発第220号)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta7768&dataType=1&pageNo=1
3. ビタミンC60バイオリサーチ株式会社「フラーレン化粧品原料」https://www.vc60.com/product/index.html
4. 三菱商事ライフサイエンス株式会社「ビタミンC60バイオリサーチ株式会社の統合について」(2023年12月1日)https://www.mcls-ltd.com/news/pdf/20231201.pdf
5. 日本化粧品工業連合会「化粧品の成分表示名称リスト作成にあたっての基準」(粧工連通知2018005号)https://www.jcia.org/user/common/download/business/guideline/ingredientlabelling/20180731_IngredientLabelling_Standard-3.pdf
6. SCCS(EU消費者安全科学委員会)「Opinion on Fullerenes, Hydroxylated Fullerenes and hydrated forms of Hydroxylated Fullerenes (nano)」SCCS/1649/23(2023年10月26日採択)https://health.ec.europa.eu/publications/fullerenes-hydroxylated-fullerenes-and-hydrated-forms-hydroxylated-fullerenes-nano_en
7. Oberdörster E. Manufactured Nanomaterials (Fullerenes, C60) Induce Oxidative Stress in the Brain of Juvenile Largemouth Bass. Environ Health Perspect. 2004;112(10):1058-1062.https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1247377/
8. Henry TB, et al. Attributing Effects of Aqueous C60 Nano-Aggregates to Tetrahydrofuran Decomposition Products in Larval Zebrafish by Assessment of Gene Expression. Environ Health Perspect. 2007;115(7):1059-1065.https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1913576/
9. 篠原直秀 編「ナノ材料リスク評価書 −フラーレン(C60)− 最終報告版」NEDOプロジェクト(P06041)/産業技術総合研究所、2011年7月22日https://riss.aist.go.jp/wp-content/uploads/2021/07/C60_201109201.pdf
10. 厚生労働省「化粧品基準」(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)https://www.mhlw.go.jp/content/000491511.pdf
11. Commission Regulation (EU) 2024/858 of 14 March 2024 amending Regulation (EC) No 1223/2009 as regards the use of certain nanomaterials in cosmetic products.https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2024/858/oj/eng
※ 本記事はニキビケアに関する一般的な情報提供を目的としており、医療行為や医薬品の効能を保証するものではありません。肌トラブルが気になる方は、専門の医療機関(皮膚科)への相談をおすすめします。
※ 効果には個人差があります。
※ 掲載している製品情報・価格は執筆時点のものです。最新の情報は各公式サイトをご確認ください。
















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